画像は『F.D.』公式サイトのトップページよりスクリーンショットにて作製しております。
皆さんこんにちは、フットボールジャパンの原島です。
先日、鹿島アントラーズのアパレルブランド『F.D.』の発表がありました。
どのくらいの販売を目標としているか、どのような設計かわからない中での感想ではありますが、
個人的に『F.D.』第一弾のウェアや関連発信を見た限りでは、販売のハードルは高い印象を受けました。
そこでこの『F.D.』および、そこからスポーツチーム(選手)のアパレル参入について、
前職で延べ50社ほどのメーカー(サッカー・フットサル系)商品の販売した経験を基に、
現在は自社でフットボールブランドを展開している私の感想をまとめます。
前提
近年、アパレル参入のハードルはかなり下がり、個人やインフルエンサーによる参入の他、
スポーツ領域でもサッカーだけではなく、多くのチーム(プロ・アマ共に)、選手(元を含む)によるアパレル参入が増えてきている状況です。
私個人のSNSだと、1週間に1~2つくらいは新しいブランドの情報がタイムラインに流れてくる印象です。
その一方で、特に最近ではコロナの影響による大手の撤退などのニュースを多くの方が見ていると思いますが、
個人的には多くの選択肢の中から選ばれる明確な強い理由がない(作れない)限り、さらに厳しくなると予想をしています。
そもそもアパレル市場のハードルが高い。これが前提です。
スポーツチーム(選手)によるアパレル
スポーツチームが商品をアプローチする層として、最もわかりやすいのは既存のファン、サポーターでしょう。
このたび、クラブの恒久的なスローガンである「Football Dream」からインスピレーションを得た新アパレルブランド「F.D.」を立ち上げ、8月11日(火)より商品販売を開始することとなりましたのでお知らせいたします。
クラブ創設期から受け継がれてきたコンセプトをアパレル商品として表現することで、クラブに共感いただけるすべての方々に向けて、日々の生活とフットボールの調和を実現する新たなスタイルを提案します。
こちらは『F.D.』について、アントラーズサイトのニュースからの引用ですが、明確にサポーターに向けられているブランドであることがわかります。
逆に他チームのファン・サポーターは、心理的には購入しづらい(ライバルチームへお金を使いたくないetc)ことが想定されるため、例え競技(サッカーやJリーグ)のファンではあっても、対象外になるでしょう。
特定の推しチームを持たない競技(サッカーやJリーグ)ファンの場合は、
幾多の他アパレルブランドとの比較の中で、選ばれるだけの強い理由(世界観)が必要です。
アパレルを入口としてファンになり、チーム・選手を好きになっていく逆パターンは難易度が高いことが想定されるため、
やはり購入者層はほぼ既存のチームファン、またはこれから別の理由でチームを好きになる新規ファンでしょう。
ファン、サポーターが買う理由
自身のグッズ購入が(資金面で)チーム強化に繋がるというのは、ファン、サポーターとして1つの大きな購入理由でしょう。
一方、デザイン面では、今回の第一弾のウェアはかなり大胆に、というよりほぼ完全にチーム感をなくしていて、
例えばロゴのどこか一部にチームカラーが使われているとかの方が、選ばれやすいのではないかなという印象を受けました。
同じく先日リリースされた『2020SS KASHIMA APPAREL』くらいの方が、デザイン面ではファン・サポーターとしては〇なのかなと。
\新登場!!/
ファッションとフットボールを融合させたアパレルライン「2020SS KASHIMA APPAREL」!#antlers #kashima
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— 鹿島アントラーズ (@atlrs_official) August 8, 2020
このあたりは設計はヴェルディのリブランディングが上手な印象です。
関連記事:東京ヴェルディの2020シーズンユニフォームはどうして凄いのか
また、予算という面において、既存のチームファンは観戦そのものや、ユニフォームなどの優先順位が高いことが想定されます。
上述の通り、チームカラーなども使われていないことで観戦用のウェアにはなりづらく、
コアなファンの方ほど予算面で『F.D.』購入の優先度を上げづらいのではないかという印象です。
SNSの反応
アントラーズより新アパレルブランド「F.D.」が誕生いたしました。
FootballDreamというコンセプトで、普段使いできるアパレルを展開いたします。
ぜひショップをご覧ください。#FootballDream #antlers #kashimaF.D. OFFICIAL ONLINE STORE:https://t.co/k578zMthTi pic.twitter.com/wvzkvCHz4T
— 鹿島アントラーズ (@atlrs_official) August 11, 2020
Twitterでの反応では、これくらいのデザインの方が着やすいという意見や、チームを好きな知る人ぞ知るという立ち位置の方が良い、
というような意見も多く見られたので、ある程度の反響はあるものと想定されます。
その一方、『F.D.』の公式インスタグラムのフォロワー数で見ると、この記事を書いている時点で約1,600。
チームの公式インスタグラムが13.7万フォロワーであることを考えると、初速としては少ないのかなという印象を受けました。
チームファンであってもこの『F.D.』に対しては、現時点ではまだ無条件で好きになるような期待値までは生み出せていないと言えそうです。
まとめ
元々、私個人的にはスポーツチーム(選手)のアパレル参入はハードルが高いと思っていて、
それであればチームの視聴率を活かして、サプライヤーの広告塔としての役割だったり、
何か関連・関係性のある既存ブランドとのコラボなどの取り組みの方がいいのではないかという印象を持っています。
最近の具体的な事例だと、いずれもsoph.絡みで、F.C.Real Bristolと各チームのコラボや、トリニータのONSEN CITY FOOTBALL CLUBなどの企画は親和性も高くていいのかなという印象です。
とはいえ、いちサッカーファンとしては『F.D.』の今後の展開が楽しみですし、おそらくそんな安易な設計にはしていないでしょう。
アントラーズという日本トップクラスのチーム発だからこそ、国内にとどまらないブランドにしてほしいなと思います。